鉄腕バーディー02 DECODE

SPECIAL

『鉄腕バーディー DECODE:02』第1話先行上映&トークイベント

「鉄腕PARTY」レポート
開催日:2008年12月23日
出演:ゆうきまさみ(原作者)、赤根和樹(監督)、出渕裕(クリエイティブプロデューサー)、千葉紗子(声優/バーディー役)
司会:氷川竜介(アニメ評論家)

まもなく放送がスタートする『鉄腕バーディー DECODE:02』。その第1話の先行上映と、原作者・ゆうきまさみさんや監督・赤根和樹さんらを迎えたトーク、そして両氏の関連作品の上映‥と内容盛りだくさんのスペシャルイベント「鉄腕PARTY」が、2008年12月23日、都内にあるSME乃木坂ビル内で行われました。

開演時間になると、抽選で選ばれた200名のファンの前に、ナビゲーター・氷川竜介さんが登場。イベント開始の挨拶とイベントメニューが紹介された後、『鉄腕バーディー』の原作者・ゆうきまさみさんがメインスタッフとして参加した大ヒット作品『機動警察パトレイバー』の上映が始まりました。

一時代を作り上げた大ヒット作品『機動警察パトレイバー』。ゆうきさんは、その原作者集団・ヘッドギア(※1)のひとりとしてだけでなく、コミカライズも担当。また、ヘッドギアの中には、『鉄腕バーディー DECODE』のクリエイティブプロデューサー・出渕裕さんも名を連ねています。

今回上映されたTVシリーズ第38話「地下迷宮物件」は、押井守さんが監督・脚本を務められたことだけでなく、メインメカのパトレイバーが活躍しないことでも有名なエピソード。ゆうきさんが「シリーズを見ていない人もいるだろうから」と気を配って選んだということもあり、放送当時はまだ幼かったであろう方々も楽しんで鑑賞されていたようです。

2本目の上映は、赤根監督が原作から作り上げた『ノエイン もうひとりの君へ』から第1話「アオイユキ」。2005年に放送されたTVシリーズであり、今なおコアなファンを抱える作品ですが、実はゆうきさんもそのひとり。第1話を観た瞬間に「この作品は凄い」と感銘を受けたことから、その後の『鉄腕バーディー』TVアニメ企画立ち上げの際に「あの監督がいい」と、赤根監督を熱望したそうです。また、『鉄腕バーディー DECODE』のキャラクターデザインおよび総作画監督として活躍しているりょーちもさんは、この作品(第12話)で赤根監督と初タッグを組んでおり、まさに『鉄腕バーディー DECODE』の切っ掛けを作った作品になります。

2本の上映が終わると、再び氷川さんが登場。ゆうきまさみさん、赤根和樹監督、そして出渕裕さんを舞台にお招きしてのトークショーがスタート。上映された2作品の解説や制作の裏話が披露されました。『機動警察パトレイバー』については、赤根さんがサンライズ(『機動警察パトレイバー』を制作したスタジオ)出身ということもあり、「地下迷宮物件」で登場するキャラクターたちのモデルとなった関係者の話や、『機動警察パトレイバー』だけでなく『鉄腕バーディー DECODE』でも脚本を書いている高山文彦さんの話題で盛り上がったり、来場者からの質問で、思わぬ方向にも話が膨らんだり……。

そして、話題が『ノエイン』に移ると、『ノエイン』にも長谷部アイ役として出演していた千葉紗子さんが登場。まるで映画のようなクオリティの高さ、演出、動きについて話題が集中。その自在な作画の話になると、「バーディーだと、ここまで自由にはできませんね」という赤根監督に対し、ゆうきさんが「バーディーでもOKだよ」と発言し、赤根監督への信頼感が垣間見られる場面も。また、作中で描かれているエピソードが、赤根さん自身の青春時代の思い出が基となっているのではないかという話に発展。じつは「家出の約束をしたのは友人」だったという暴露話まで打ち明けられました。

話はつきないものの、今回のイベントのメインは『鉄腕バーディー』。そう、ついに『鉄腕バーディー DECODE:02』第1話上映の時間がやってきました。なんと、お披露目された第1話は、この日の朝出来上がったばかりの通称「0号」。オンエアに向けてブラッシュアップされる前段階のものであり、本来は業界関係者にしか公開されないバージョンだったのです。誰よりも早く本編を鑑賞することとなったファンおよび取材陣の皆さんは、所々で感嘆や笑い声を上げつつ、迫力の上映を十分に楽しまれていたようです。

上映後は、再び氷川さん、ゆうきさん、赤根監督、出渕さん、千葉さんが登壇し、『鉄腕バーディー DECODE』についてのトークがスタート。千葉さんが始めに「早宮たちが夏服から冬服へと変わった」と指摘すると、そこから話は制作裏話……予想だにしなかった濃い話へと展開していきます。夏服から冬服へ→じつは、第1期とは全体の色使いが違う→テーマの変化が影響している→第2期は第1期よりアダルティ。ちょっとした違いでも、そこには大きな理由が隠れているんですね。千葉さんは、クリエイター陣との着眼点の違いに驚きつつも、ファンの皆さんに近い視点で楽しいトークを盛り上げてくれました。また、赤根監督からは「第1期を見て、自分も描きたいというアニメーターが集まってくれた」と、ユーザーだけでなく、業界からも注目されている作品であることが窺えるコメントもありました。

さて、ここまでくると、どうしても気になるのが第2期全体のこと。そこで、トークの中で明かされた注目ポイントを幾つかピックアップしてみましょう。
(1)リュンカ事件がベースとなっているため、第1期を見ていればより楽しめる
(2)シリーズ全体で1本の映画のように構成している
(3)つとむの恋愛が軸だった第1期に対し、第2期はバーディーのドラマが核となる
(4)バーディーの過去話も描かれる
(5)第2期の予告は、子供時代のバーディーが担当する
(6)アクションは最終話に向けて激しさを増す
‥と、タイトルこそ「02」とはいえ、ストーリーも描写も、第1期とはかなり様子が異なるということがわかりました。

この他、オンエアまでのお楽しみとなった第2期のオープニング・エンディング映像については、赤根監督より「第1期のOPは夏でしたが、今回は雪をイメージ。EDは、元気でかわいらしい、大人が子供の頃を思い出すノスタルジックなイメージで作っています」と制作状況が語られました。また、有田しおんから子供時代のバーディーへとバトンタッチされた予告編に関しては、「子供バーディーが元気にしゃべることによって、切なく聞こえれば‥と監督がおっしゃっていました」という千葉さんに対し、赤根監督からは「アバンで毎回のように登場する子供時代のバーディーを見ていてくれれば」と、その理由に関するヒントをいただきました。そんな中、来場者からのお便りとして、「第2期でレビとゴメスの登場は?」と『鉄腕バーディー』の原作ファンが一番気になっているであろう質問も噴出。「現在進行形のエピソードなので触れないんですよね」と赤根監督がコメントすると、ゆうきさんは「僕、一生懸命書くから!もうちょっと待ってください…。僕の場合、もうちょっとが長いんだけど」と笑いを誘っていました。また、第1期にも増して独自の展開を見せる第2期『鉄腕バーディー DECODE:02』について、ゆうきさんの古くからの友人でもあり、『鉄腕バーディー』を見続けている出渕さんが「良いセッションができている」と表すると、ゆうきさんからは「原作からジャンプしてくれた分、観客のひとりとして楽しめます。(原作者として)援護射撃をしてもらっている気分。1月から、3カ月間元気になるぞ!」と高い期待が寄せられました。

単なる先行上映に留まらず、関連作品の上映や他では聞けないディープなトーク満載で構成された「鉄腕PARTY」。2時間30分にも及ぶ長丁場のイベントになりましたが、参加された200名のみなさんには、またとない素敵なクリスマスプレゼントとなったのではないでしょうか。

※1/ヘッドギア  『機動警察パトレイバー』の原作者であり、メインスタッフでもある5人(伊藤和典、出渕裕、高田明美、ゆうきまさみ、押井守)のこと。1988年にOVAとしてスタートした『機動警察パトレイバー』は、後にTVシリーズ、2本目となるOVA、3本の映画へと発展。ゆうきさんによる漫画は約6年間の連載、コミックス22巻におよぶ長期作品になった。

(C)ゆうきまさみ・小学館/PROJECT BIRDY